詩人:千波 一也
空の名は
曇ることが ない
大雨だろうと
快晴だろうと
空は、空
不純なものの一切を
それとは知らずに
ながらく含み
おそらく とわに
静止をしたまま
そうして
さらに空の名は
澄み渡ることが ない
たとえば
月のまじないも
たとえば雪のささやきも
それぞれ同じ重さでは
ひとの肩へは
降りてこない
誰のせいでもない けれど
誰のせい でもないがため
なおさら空は 空の名は
願いのかなたへ
放たれてゆく
続きを誰にも
のこせずに
空の名は
それを呼ぶものと
呼ばぬものと を
分けることなく
通過する
探してみせる起源のはしに
いつでも風を
おどらせて
正しさと過ちとを
包み隠さず
包み
隠さず