詩人:松子
彼は黙ってそれを見ていた
ただひたすらにそれを見ていた
私はそんな彼を見ていた
黙ってひたすらに彼を見ていた
だが彼はいっこうに動く気配がなかった
じっとそれに見とれていた
彼が見とれているそれは いったいどんなに魅力的なんだろう
そこにどんな秘密があるのだろう
そっと彼と同じところに立って見た
さっきまでいたところと ちょっと違うだけなのに
なるほど 素晴らしい
彼は黙ってそれを見ていた
ただひたすらにそれを見ていた
私も黙ってそれを見ていた
ただひたすらにそれを見ていた
同じそれを見ていた