詩人:トケルネコ
レミーは死んだ 何処で死んだ
遅い午後の食卓で死んだ
広すぎたテーブルクロスに囲まれて死んだ
レミーは死んだ 何故に死んだ
闇を歌い尽くして死んだ
聞こえない音を探して死んだ
レミーは死んだ
お前たちは何処へ行っていた
レミーは死んだ
お前たちは何を知っていた
レミーは死んだ レミーは戻らない
不思議な顔をして人形と戯れる手はもう動かない
河の畔で独り佇む姿も 教室の隅でカーテンに包まる笑顔も
レミーは死んだ
私たちは何を見ていた
レミーは死んだ
私たちは何を聴いていた
レミーは何処へ
喋れない舌のレミーは 恥ずかしがり屋の赤毛の青年は何処へ
レミーは消えた 我々から星の飛沫を奪って
レミーは去った 我々に太陽の下の瓦礫だけ残して
レミーは死んだ 何処で死んだ
無人の駅舎で父を、母を、友人達を待ちながら死んだ
レミーは死んだ 何故に死んだ
父も、母も、友人達も誰も彼を本当には必要としなかったから