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詩人:evans
私の人生
いろいろな色に囲まれた人生
楽しかった思い出の色
辛い思い出の色
懐かしい色
希望の色
有彩色と無彩色という
朝と夜を繰り返す
自然の色の営み
いま昔を振り返る
黒い真っ暗な産道を通り
はじめて見たのは何色だったのだろう
それは病院の薄い青緑のカーテン
それとも助産婦さんの白い白衣
それとも感動と喜びに紅潮した
肌色の皆の笑顔
しかし私の記憶には
それ以上に辛い記憶の色が
鮮明に残ったに違いない
白地に赤いライン
そして赤色に点燈する光
蛍光灯に照らされる
無色透明に連なる箱
その中に殆ど身動きもせず
じっと置かれている面々
激しく動き回る白い衣装
1100gという極小未熟児
10日間は99パーセントの
命の保障もされぬままに
生死の境をさまよった
ときは流れ
あのときの母の年齢に
7年足した時間を私は
いまも健康に生きている
一昨年の夏、還暦を迎え
紫色のセーターを着る母と
春の光に輝くバルコニーの
色彩豊かに咲く花を見て
いま使命を感じる
母なる太陽によって
すべてが美しき色彩を放つ
われもまた太陽となって
すべてを虹色に
輝かせていきたい