詩人:黒夢
雨の中、水溜りに映る人模様。
叩きつけるような酷い雨はきっと、当分続く。
そっと観察してみよう。
目の前に広がる街模様。
小さな小さな子犬が震えてる。
可哀相に、捨てられたんだ。
寒いんだね、雨を凌ぐ物もなくて冷たいんだね。
でも僕には何もできないよ。
きっと誰かが…。ああ、ほら。
誰かが傘を差した。
ヨカッタネ、オチビサン。
沢山の人が集まる駅前の喫茶店。
その扉の近くに立つ彼女。
何度も何度も時計を見ているね。
どうしたの?誰を待ってるの?
キット、待チ人ハ来ナイヨ。ソレデモ、待ツノ?
その横で何人かの少年達が
其処に置いてある誰かの傘を、黙って持っていった。
人の物なのに。
でも僕は何も言わないよ。
だって関係ないでしょ?
見テイタノハ、僕ダケ。
ヨカッタネ、オ兄サン達。
今日も変わらぬ街模様。明日もきっと変わらない。
僕はいつでも見ているよ。この大きな家の窓から。
きっと誰も気がつかない。不思議なものだね。
イインダヨ、思ウヨウニ生キタラ。
いつも変わらぬ人模様。そして僕も変わらない。
何て悪趣味で、ひどく滑稽なんだろう。
雨が全てを濡らしてく。
僕の心も、べとべとに。
水溜りに映る僕の心。
何て醜いんだろう。何て情けないんだろう。
暫く止まない雨に全てを委ねよう。
心も、全部、全部。
そうしたら、僕の心は変わるかな?
くるくる廻る、心模様。