詩人:華亥羅区凶
俺は
何時だって
流れもの
新しい靴と新しい服で出かけたら
いきなりの夕立に鷲掴みにされて
靴はドロドロ
服はスケスケ
夏じゃなくて良かったなんてのんきに考えながら前を見たら黒猫が震えていた
服を脱いで上一枚になって黒猫を暖めようとしたら逃げられた
家に帰ろうと思ったら知り合いのオバサンに捕まって長話
フラフラになって家についたら鍵がかかってて入れない
そんな日を繰り返して
自分が自分なのかすら
長い年月の末に忘れちまったよ
名前のない俺は
自分のことを俺と呼ぶから
男だと思ってたらオナベと言われた
女だったのかぁ。
何時までものんきな俺は
今のところ名前のない
のんきな旅人