詩人:夜深
ひとりでね
ぽつりとね
教室にね 残ってるとき
すごく
胸が詰まって
苦しいんだ、
っていうくらいに
実は
貴方のことが。
この世界の暗いものに
押しつぶされないように
いままで頑張ってきました
この世界の明るいものに
少しでも触れてみようと
いままで頑張っていました
なんか
分からないけどあたしはもう疲れましたのよオホホホ
…ふぅ
と息が 何の変哲も無い影にかかると
背中の羽根が羽ばたこうとする
嫌だよ ねえ嫌だよ
この翼よ飛ぼうとしないでくれ
だって今飛んだら
この羽根は青嵐の中飛ばされてしまうよ
闇に向ってたくさんたくさん飛んでも
その先にはとんでもない嫌なものがあるに決ってる
微かな希望を羽根のひとつひとつに託して
また
飛ぼうと思うその心の裏側に
ぐらついて泣きそうになる
乾いた諦めかけた涙枯れた夜が広がってんの
ねえやっぱり嫌よ嫌
飛ぼうとするのやめられないのあたし
やめてよあたし やめろよお前
やめてよあたし 飛ぼうとすると崩れちゃうよ
それでもなんか
気持ちがずっとずっとずっと動いてて早くなって
飛ぼうとする
届かなくってもいい 傷ついてぼろぼろでもいい
悲しくって泣きじゃくって目を腫らす日でいいから
傷ついて傷ついてえぐられてでもいいから
飛びたい!
黒でも白でも
灰色でも晴れてても
雨でも雪でも嵐でも
どうしても光を求め続けて飛びたい
この翼が
熱い想いで焦げて錆びてもくたばってもいいから
飛びたい!
世界に渦まいている
暗くて嫌なものと明るくて好きなもの
どっちも両翼に抱えて
飛びます今飛びます飛んでみせます
しんで花実になるものか
生きて花実は咲くんだよ
さあ
この翼に有りっ丈の想いを
少しの涙と少しの闇を
かかえて
早くひとりでも飛べるようにならなきゃ
あたしの中の弱いあたしを捨てて
あたしの中の強いあたしを育てて
未来へ、
明日へ、
星がどうしようもなく輝いてきれいな夜に
飛ぼう
飛ぼう
飛ぼう
飛ぼう
途方に暮れないように声が枯れないように
歌いながら飛ぼう
飛ぶよ今から 小さな詩人は。