詩人:千波 一也
待たされすぎた過ちが
無風のなかをざわめいている
低く、
そらへと
這いだす者を
あやぶむ声はいつも、高い
わかれたはずの
軌道の彼方、
もっとも遠い行く末を
かぼそい肩で
温めて
たとえば星を奏でるように
浅瀬の深く、
傷を抱く
聡明な、鏡をここへ
銀色は
まぶしすぎるがゆえ
やさしさを内包しては
いるけれど
明らかに、
まっすぐな逃避と希求には
かなわない
仰いで、
みえないならば
なおさらに、仰いで
そらは、森
海という名の迷いのおもてを
吸いあげながら
揺れる命の
温床となる
月は、
まもなく昇るだろう
癒すでもなく
ただ聡明に