詩人:千波 一也
あした、
涙がかわいたら
海を迎えに行きましょう
果てのみえない
かなしみの
ひと粒として
あらわれましょう
雨が降っても良いのです
風が吹いても良いのです
いっそ
とおくへ運ばれましょう
混ざりつくせぬ
よごれをもって
きらきら
だれもが砂の船
貝殻は、
おのれにまつわる語りについて
ほんのわずかも知りません
静かに
たしかに
ときを紡いで
そこから一歩も
動かぬ巡りをわたるのです
きこえませんか
向き合えば、ほら
透明になるかなしみが
あした、
言葉がかわいたら
海を返しに行きましょう
波の
手にふれ
かさなり合って
ひと粒ずつの
海をなす
ため