詩人:中村真生子
吸い物の椀を開けるとふんわり花の香り。漂わせていたのは鯛とぜんまいに添えられた白い小さな花。柚子の花だという。水琴窟の音のように香りが静かに響き渡る。この時季ならではのお楽しみだという。お椀に一つ白い小さな柚子の花。楽しみはささやかなほど心に深くしみわたり…。