詩人:千波 一也
よく晴れた日に
おまえは旅立ったから
空に
おまえを探して
けれど、見つからなくて
わたしはなおさら
寂しくなった
道ばたの
すこし汚れた草たちが
いつかの昔とよく似て揺れる
空はあかるいから
いつまでも、いつまでも
わたしは思い出してしまう
よく晴れた日に
おまえはいってしまった
それはおそらく
幸せなことだろう
こころよく
すがすがしいのぼり道を
おまえは駆けてゆけるから
わずかな雲間から
おまえが顔を出しそうで
わたしはいくたびも
見上げたけれど
もう、おわりにしなくちゃね
よく晴れた日に
おまえは旅立ったから
わたしはわたしを生きていこう
おまえが残したあかるさで
わたしはわたしを
照らしていよう
ありがとう、の代わりに
ただただ
ありがとう、の代わりに