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[152396] 夢風船

詩人:どるとる


良心と悪心の追いかけっこはつづく
僕らは走る 明るい朝でも光を避けるように暗く長い路地裏を
本当は誰だっていい人でいたいんだけど
時々 心の中に悪魔が生まれてしまい
その牙を剥くから
誰かを傷つけてしまう
自分を傷つけてしまう

さよならって言っただけで今日が終わるなら どうせ何も言わなくても終わるなら
さよならなんて言わなくていい 悲しくなるだけ さびしさが膨らむだけ

誰かが空に放してしまった風船が電柱に引っかかったように
途中まではいい線いってたのに今になって行き詰まってしまうような

こんなはずじゃなかった
つぶやいてみても
頼りない言葉たちは生暖かい溜め息に変わるだけ

結局 きれいな思い出にかくれんぼ
僕はずっと鬼役の 子供のころの僕に追われてる
なんで頑張らなかったの?なんでこうなったの?なんて言われながら
大人になった僕は耳をふさぎ逃げ続ける
見つかるのがこわくて ずっと心を閉ざしたまま
そんな自分にさえ語りかけられる恥ずかしさに自分が自分で嫌いになる

いろんな色の風船が数え切れないくらい 空に浮かんで
気づけば あのころの僕が僕を後ろから抱きしめてその瞳には涙が光っていた
そしてこの僕も同じように涙を流した

空にはなした風船のようにもう今では 手の届かない夢
それでも 僕にはあのころとは違う新しい未来がある
けっしてしあわせではないかもしれない
だけれど あのころの夢が叶っていたらしあわせになれていたのかと思うと疑わしいから
僕は遠ざかる風船を追いかけず あのころの僕とふたり土手に座り 眺めていた
そんな夢のような夕暮れ時

目を覚ました僕は
ベッドの上
懐かしいアルバム
めくってる途中で
うかつに眠りこけてしまったようだ

夢だと気づくと
開いた手のひらの中にしぼんだ風船がのせられていた
それに気づいた僕はなぜか泣いていた。

2010/01/19 (Tue)
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