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詩人:さみだれ
言葉を持たないままでいられたら
あの女の子はあんなに泣きはしなかっただろう
感情を持たないままでいられたら
きっと世界はこんなに美しくはなかった
私が人であり続けるために
泣いてみればいいのだろうか
私が人であり続けるために
高いところから見える限りの世界を見ようか
そうして知った心は
糸のように細くて
まっすぐに暗闇の向こうまで伸びて
それが唯一無二の
私だけの形だと知って
ようやく生きることができる
言葉を持つことができたから
あの男の子は泣きながら謝ったんだ
感情を持つことが嬉しかったから
ずっと世界は美しくあり続けるんだ
その心を抱きしめていたい