詩人:なってくる
手のひらを下にして
遥か絶大な羊水の郷里
眼は優しく閉じて
氷上の鼻呼吸
湖面のリズム
風の線遠近法の源
木々の呼吸の浸透感
せせらぎのタッチ
空間の統一
けのびした先から溶けてゆく
身を任せる鼓動のハーモニー
人水の調和
曲線で小さく波打った温もりの肌触り
包まれる聴覚
重力も自律神経も
痛みと感覚と共に全身の力みが抜けながら
次第に色が要らなくなる
沈んでいるのか
浮いているのか
融けているのだから
無数に重なった二等辺の光は
網膜ではなく 真っ直ぐ心臓に差している
後ろから刺さって身体が開いたまま弓なりになる
赤い
眩しい
赤い
他は青く境目すら見えないのに
心臓から四方八方に眩しいほど漏れている
雨は地から天へ
空は内から外へ
間は手を繋いで
壮大な演奏の中
早朝の神秘に似た浸り方
音の上に寝るようにして