詩人:鰐句 蘭丸
生涯最大の親不孝をしたバカ息子の親不孝には続きがあって
亡き母の葬儀が終わって来賓を帰したあと、血縁で親い人間たちだけで晩餐をひらいた。喪主を務めあげた疲れや酒もいつもよりペースが早かったせいか俺は少しおかしくなっていた。
いつのまにか母の遺影の前にGuitarを抱えて座り込んで歌を歌っていた。
生前 母が好きで聴き口づさんだ歌 花 を
泣きなさい 笑いなさい いつの日か いつの日か 花 を 咲かそうよ
端から見れば、葬儀を終えた晩餐にGuitarで歌を歌うなんて、気でも違ったか。
思われても おかしくない。
でも、晩餐に残った親い人間たちは笑顔で聴いて一緒に口づさんでくれていた。
本当に バカ息子の親不孝 に終わりは無かった。
追伸 母へ
あなた去ったあと結婚もし息子も生まれました あなたの孫です 抱いて欲しかった 愛してあげて欲しかった
叶わないので あなたの好きだった 花の名を息子につけました 遠くから見守ってもらえるようにと
蘭 といいます。