詩人:千波 一也
かぜをすする、と
むねは
しずかさを
とりもどす
むかしむかし
おそらくぼくは
みずうみだったのだろう
かわではなく
うみでもなく
つきの
みちかけと
おしゃべりしながら
かぜのゆくえを
みていた、
のだろう
かぎがひかる、と
むねは
おそれて
さわぎだす
それゆえぼくは
こわくない、
こわくない、
と
なみだのなかの
てつに
なる
あしたもかならず
あめだろう
いともたやすく
よろこびに
しずんでゆくのを
こばむため
そうやってぼくら、
まざり、あうんだね
わかるかい、
きみのとけいが
かたるもの
わかるかい