詩人:どるとる
僕のため息の音以外何も音がないから
それじゃさびしいってことでさ僕はCDをかけた あまり意味はなかった
関心のない言葉がただ耳の奧でただの音符に変わり 跳ねたり沈んだりするだけ
つまらなさすぎて死にたくなった 昼下がり
昼間なのに暗い 雨降る町並み
雨上がりに渋い紅茶でロマンあふれる雰囲気を演出する準備は整ってるのに一向に雨は弱まりもせず芸もなくはげしくはげしく降り続く
雨上がりをイメージしていた昼下がりの僕も夜になればただ眠いだけでロマンスも何もないやと諦めたように紅茶を飲み干し 乱暴に 安いプラスチックのカップを 戸棚にしまう
そして真夜中
今更 雨は止む
残酷なほど
自分のしていたことが無意味になって
はじめて気づく
ロマンなんて
抱くんじゃなかった
思わず否定派に回ろうとする自分さえ
立ち止まり 思い直し また 賛成派に戻る
ああ 今日もまたノーロマンのまま 夢の中へ落ちてゆく
お得意の妄想のピストルさえ
今夜はさすがに空砲さ
それでも待っている
いつか映画がドラマみたいに現実でだって 雨上がりに優雅な紅茶を飲める時を
首をキリンさんにして待っているんだ
今日も 止みそうで止まない雨をガラス越し見つめて
待つ 雨上がりのロマンス。