詩人:番犬
どんなに遅かろうが一度開いてしまえば花は花だし、どんなに不細工な形だろうと咲いてしまえば花は花だ
今やるべき事は、咲いてくれるのかくれないのかを気にするよりも、一刻も早く目の前の土を耕し多くの種を蒔く事だし、雨や晴れや雪のタイミングを間違えない事だ
空との会話は無駄にはならないと、多くの偉人の結果は証明してきたぞ
死ぬ前に名誉や尊敬を集めたいなら、死ぬまで他人の評価を気にするのなら、どうか俺の前から消えてくれないか
たとえ100の内の99が土の中でその一生を終えたとしても、残りの1が背負ってくれる事を忘れるな
時々の洪水や地上を震わす稲光、アスファルトさえ沸騰するかのような灼熱の日照りもあるだろうが、その末で咲いた色の鮮やかさをもてはやされたいなら、どうか俺の前から消えてくれないか
俺が求めるのはそんな見せかけやラッキーや場当たり(咲く花の色は誰にも決められないからな)じゃなくて、お前自身が流した汗や腕の汚れの輝きだ
咲くかどうかも分からない種でパンパンに詰まったお前のポケット、蒔いて蒔いて毎日蒔いても増える事はあっても減る事はない
だから空腹におびえるな、種を蒔け
足らなくなるかもしれない、足らない足らないと不満を漏らすだけなら、いつか見た映像の繰り返しだ
俺やお前が見たいのはそうじゃなく、自分の手で耕した土の上で咲き誇る(咲かないかもしれないが)花に象徴される、とてつもなく偉大でシンプルでタフな情熱だ