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詩人:秋庭 朔
ずっと前から
その花の名前は
知っていた
だけど
毎日のようにその傍を
通り過ぎていながら
緩やかな坂の街路上に
華奢な枝を
幾重にも空へと向けて
静かに佇んでいる木が
それだとは一年前まで
知らなかった
窓に映る外の景色を
ぼんやり眺めていた
黙ってるとコワい
と言うから
ダジャレ連発すると
無理しなくていい
と不満顔
中くらいってのを
知らないんだ
してもいいかな?
チュウくらい
うん、いいよ?
エッ!ここで?
自分が言い出したくせに
…なにか食べる?
あ、話そらした
あたしカルボナーラ
じゃ、俺…
チキンカレーにすれば?
イヤミか?
今日やけに僕に
からむよね?
スパゲティだけにね(笑
窓の外の
白いハナミズキの花達が
風を含んで笑って見えた
少し和んだ昼下がり