詩人:千波 一也
カレンダーをめくると
またひとつ昨日がふえる
そうして明日が
ひとつ減る
わたしに数えられる
昨日と明日には
限りがある
なぜならわたしは
消えていくから
この
生まれもった運命を
ひとは互いに教え合う
見送りながら
見届けながら
ひとは
わかれの数だけかなしみを抱き
そのかなしみが
大きくなり過ぎた頃に
そっと、しずかに消えていく
カレンダーをめくると
みえない毒が指先につく
それはけっして
避けるべきものでも
避けられるべきものでもないから
積もりつもって
わからなくなる
蠍座の夜は
ほんの少しだけ、こわい
うつくしいものたちが
嘘をついてみせる
から