詩人:さみだれ
広いといえば
海を思い出す
貧しいといえば
どこかの国のスラムに
良いことは忘れがたく
豊かになれば
忘れやすく居心地よい
貧困になりさえすれば
大事に思えるものが増える?
減らないことが
忘れがたく居心地よい?
居心地のよさは
私の太古の記憶から
指を吸うことが
居心地のよさと言った
狭さを呪う
そんな胎児の胸に
管は繋がれ
呼吸は地球に波を立て
手がある理由を知り
広さを確かめた
手に取るものがないと
諦めてしまった
広くなくていいから
海を見たいと
望む君こそ
居心地よいのだと
そこに理由を持たないように
君は軽やかに指を鳴らした
楽しくなって私も鳴らした