詩人:千波 一也
ことばのつるぎに触れるとき死にはしない、というあたらしい嘘がまた増える こごえる者には 火を着せよ 暑がる者には 水を撃てやさしいはずの真心の墓標をだれかよく見たかひとを殺めるものは、つるぎたとえその手が直接だれをも殺めなくても語ることばを持つ者はつるぎを遠く離れない よろこぶ声には 火を放て かなしい声は 水底へことばのつるぎに触れるときさばきの音はこぼれゆくしなやかに満ちあふれて、しなやかに