詩人:どるとる
三丁目の猫は今日も日が暮れてくると
路地裏にあらわれて
昼寝する
おまんまも欲しがらず
三丁目の猫にはこれといった名前はないから僕が勝手につけたのさ
君は黒いからクロだ
なんてありふれた名前だろう 自分でつけておいて 自分で笑ってる僕さ
路地裏の猫は毎日
日が暮れると
路地裏にあらわれて
少し鳴いて
また どこかに消えてゆく
首輪についた鈴を鳴らしながら今日も日が暮れるとオレンジ色の空のぞく路地裏のブロック塀の上に座って昼寝する
ただそれだけの光景を見ているだけで和んでしまう僕は
悲しいことなんて忘れていた
何が話したいのかもわからなくなってしまうほどばかばかしい日常の片隅に光る特別な出来事に微笑む
路地裏の猫は今日も子供連れて あらわれるよ
日が暮れたら
オレンジ色の空にふっと浮き上がってくるようにほら ブロック塀を歩いてくる
路地裏の猫
名前は黒いからクロ
仏頂面だけれど
僕はお前に癒される
また明日も会おう
無視されるけれど
手を振るよ バイバイ
夕闇の中 お前が立ち去るまで近くのベンチに座って 見てるよ。