詩人:中村真生子
花の季節にふさわしく市場の中も花盛り。目移りしながら歩いていると一束のバラが目にとまる。淡いアプリコット色のフリルのような花弁そしてそのボリューム。あまり見たことのないバラだった。買って帰って青い瓶に飾る。というか青い瓶に飾ろうと決めていた。日に日にゴージャスさを増すそのバラにいっとう喜びを感じたのは名前を知った時だった。「ラ・カンパネラ」。たまらなく好きなリストの曲の名。