詩人:千波 一也
冬の
凍った路面を
手を取り合って
老夫婦が歩いてゆく
どちらが
どちらを
かばうでもなく
どちらがどちらに
もたれるでもない
ごく自然に
互いが互いを支え合い
互いが互いを
寄り添い合う
もう
何十年と
そんなふうにして
歩き続けてきたのだろう
ぼくはときどき
必要ということばに
とらわれ過ぎてしまうけれど
紐解いてみれば
それほど難しい意味では
ないのかもしれない
十分過ぎる暖房の
ぼくの車は信号待ち
あんなふうになりたいね、って
きみのことばに
ぼくはほほえみ
アクセルを踏む
冬の
凍った路面を
ゆっくりと