詩人:千波 一也
吐息が
しろく曇るのを見ると
少し、安心できる
わたしの日々は
ほぼ偽りかも知れないけれど
熱だけは、進もうとする熱だけは
たしかに思えて
安心できる
いつだったろう、
ことばの寒さに触れたとき
覚えたことは方法だった
なお寒くなる道ばかり
何度も求めて信じてた
ときどき胸に
温もりとは程遠い
炎のかけらが蘇る
解くべき順番の正しさは、雨のなか
春みやる冬
夏ねがう冬
秋のこす冬
ほんとうの冬に至らないわたしは
かろうじて、まだ
雨のなか
ことばの水にめぐる季節を
乗り過ごせるのは
あといくつ
吐息をしろく曇らせながら
急ぎ、歩く
この身を寄せるべきところへ
雪混じりの風のなか
わたしは歩く
急ぎ、歩く