詩人:千波 一也
二十歳くらい、かな
通りすがりの
ふたりをながめながら
ぼくはベンチに
座ってる
きみを
待つひとが
ぼくだ、ということに
きみはもちろん驚かないけど
もしかしたら
そういうことを
ふしぎにかえないために
ひとは傷む、のかもしれないね
通りすがりの
さっきのふたりを
ぼくはすぐにも忘れるだろう
たぶん、向こうも
おなじだろう
でも、時は
そのたびいちいち
傷ついてはいられない
ぼくたちは
どこから生まれ、あうのだろう
あかるい星の無言のような
靴おとのなか
ぼくは思う
つぎは、きみかな
宇宙のすみで
ぼくは
笑む
ふしぎの代わりに
精いっぱい