詩人:どるとる
近くにあるものが遠くに見えるように
過ぎた日々が近いようでも遠くにある気がするように
今この瞬間だけは見えるけれど先のことは見えないんだよ
たった1秒後すら見通せない僕を遠ざけるように時間の概念はやたら常識に忠実に動く
これから得るもの
失うもの
今まで得たもの
失ったもの
当てずっぽうな透視法で のぞき見ても そこにはいつも期待にそぐわない明日があるだけ
過ぎた日々や時間はどこにも消えてはないよ、ただ僕らだけが歳を重ねて遠いように見えるだけ。そんなまやかしを見せて騙くらかす現実を暴け
近くのものが遠く見えるのは 過ぎてしまったからだろうけど
それなら昨日は思い出と呼ぶにはあまりに新しすぎて
遠近法とかつかって明日を見たところでピンぼけでよく見えないんだ
遠くに見える
思い出の数々
それは嘘でも
まやかしでもないさ
確かに 僕はたとえば昨日と同じ場所に立って今 生きている
遠近法など くだらないことは今すぐ忘れてさ
今を精一杯生きることに一生懸命になってさ
歩いて行こうよ
ほら、もうすぐ夕暮れが僕らの心を焦がしたら涙が頬を伝うだろう
予測できてもこのくらいだ
遠近法じゃずっとわからない
愛やぬくもりが
僕を今という場所に生かしている
ほら 見上げれば
確かに 昨日と同じ
空が広がっているじゃないか
ほら 胸に手をあてれば 確かな鼓動が生きていることを教えているじゃないか
だまされないで
今を見極めて
嘘を暴け