詩人:千波 一也
赤い夕日を浴びたのに
かげだけ黒い、
そのふしぎ。
草木も花も野も山も
おなじくみどりと
呼ばれる、
ふしぎ。
波の青さにあらわれて
透きとおってゆく、
こころたち。
空の青さにつつまれて
あかるく深まる、
こころたち。
こころは一体、
何いろに染まれば
よいのだろう。
黒い瞳の奥底で
澄んだ涙が
あふれる、
ふしぎ。
冷たく白い雪のなか
ももいろに咲く
この身の、
ふしぎ。
こころたち、
いつでも上手に
忘れてゆくから
いつでも上手に
思い出す。
ふしぎはいつでも形を変えて、
それでもふしぎと
見つかる、
ふしぎ。