詩人:千波 一也
雨のなか、竜が咲いていたそれは瞳が見たのだったか、耳が聴いたのだったか、あまり上手に思い出せないけれど、 あ、お、夏には遠い未熟な夏が空へと一途に澄み渡り、ぬくもるような胸の痛みが目を覚ます雨のなか、いまでも竜は咲いている透明に、ひとつの雨の無限を翔けて降りそそぎ、降りそそぐ日を咲いている