詩人:咲麻
むかしむかし
あるところに…
そんなお伽噺なんかじゃないよ
小さい頃
人のモノばかり欲しがった
あの子のの持っている
おもちゃが
何もかもが
キラキラと
輝いて見えたんだ
少しだけ大きく
でも何も変わらない
誰かの幸せが
羨ましくて
ほんの少し妬ましく
壊れてしまえばいいと
願うこともあったんだ
少しだけ大人に
大人になったかはわからない
欲しがること
しなくなった
人の持っているモノ
人の幸せを
ただただ
眩しく感じるだけ
本当はまだ
子供のまま
欲さないけど
あげない
この手の中の
大切なモノ
少しだけなら
分けてあげよう
でもあげない
不確かな存在を
ぎゅっと握りしめて
離さない