詩人:どるとる
空が泣き出して雨が降る
暗い道にひとり花のように突っ立ってる
さびしい雰囲気
風もないのに
揺れる心、惑う気持ち
不思議なものさ
雨が降るだけで
景色がいつもよりも淡くそして切なく見える
望むものをすべて
手にしたとき人は
同じテンポで降る雨のように何もかもが嫌になるだろう、だから特別なものは望まずにこちらから赴かなくともおとずれる明日をただ待つだけ
しとしと降る
雨の中人ひとり
魂までずぶ濡れ
ほら 身を守るための傘も通り抜けて悲しみは僕と 君をぬらすだろう、悪びれもせず
僕は何もできないよ悲しみに暮れる君を見てるだけで言葉もかけられない
すぐ真横を走る
金網の向こうの電車が雨をふりきり走る
そのさまを見たとき
僕も悲しみをふりきれたらいいなと思ったのさ
涙だか雨だか わからなくなるほどにびしょぬれの心もからだも行き場をなくして
さまようように行き交うように
かすんだ視界の中を泳ぐ不安
電車を乗り過ごした人のような気持ちで
タイミングに行き違ったような気持ちが
今 胸の中を駆けめぐる
僕には何もできないのに…
そしてそんな言葉をすくい上げるように君は言う
それでもあなたがいればいいと
ああ 雨は止まないよ
今も 街を 人を すべてをぬらしてる
しとしと降る
雨の中人ひとり
プライドまでずぶ濡れ
ほら 身を守るための傘も通り抜けて悲しみは僕と 君をぬらすだろう、悪びれもせず
ただ、明日を待つだけの僕という花にジョーロで水をあげるように
雨は少しずつ弱まりやがてやんだ
それさえあたりまえとせせら笑った
そんな僕に傘をありがとう
君は僕にとっての傘だった
今 気づいたよ
そして抱きしめたよ
指先のふるえが止まるまでこうしていよう
悲しみなんか通り雨と思えば?
君が呟いたから今、目には見えない雨はやんだ。