詩人:ふくざわゆいと
周りが泣くようなところで
泣けない 冷めた自分がいる
感動的な映画を見ても
衝撃的な出来事に遭っても
まるで 涙が出ないんだ
逆に みんなの涙腺が
緩いだけなんじゃないかって
錯覚を覚えてしまうくらい
あの日 「泣いてはいけない」と
心にブレーキをかけるようになった
いくら泣いても
起きてしまったことは
涙では どうしようも出来ず
なにも変えられないことを
イヤというほど 味わった
「泣いても意味がない…」
それから数年後…
今のボクは 分からない
どこで 泣くべきだったのか
いつ 泣いてはいけないのか
どこでなら 泣いてもいいのか
泣くことは 許されることなのか
その区別さえ 出来なくなった
「泣いてはいけない」
あの日から 固くかけたままの
心のブレーキは 風化して
錆びてしまったのかもしれない