詩人:千波 一也
中途半端な
自分自身のため息に
なんだかわらえた
正午まえ
背中の窓に
耳をすませば
いそがしそうな
鳥のこえ
わたしは
いっそう可笑しくなって
シャツのボタンを
ひとつ緩める
久方ぶりの
遠足みたいに
空のあおさを吸いこめば
四角いガラスは
とけてゆく
雲の
居場所を
知らせるように
毎日は
似ているけれど
少しずつ違う
確実に、
違う
たとえば
雲の横顔に
淡く
むかしを
見るような
自然な連鎖が毎日で
雲は
形を変えても雲であり
そんな簡単なことが
なかなか難しい
だからわたしは
ときどき適度に
荷を下ろす
雲に
習って
身をまかす