詩人:千波 一也
パークは閉園時刻を迎えて
ゆったりとした人波が
流れはじめる
夕暮れが終わりかけたときから
こんな光景をわたしは
切なく描いたけれど
そう、
確かに実際は
切なかったけれど
皆が一つに流れる様と
皆が同じく寂しげで
また、皆が同じく微笑む様とに
安堵を覚えたのも
確かであって
嬉々として
また、名残惜しそうに
人波は綺麗なライトの海を泳ぐ
ゆったり泳ぐ
真っ暗な夜だというのに
この上もなく
明々と
たまたまの一日を共有した人たちとは
別れの挨拶など交わさない
それなのに
心のどこかで
それぞれの帰路や、会話や、表情を
気にしてしまう
人が
人を思う気持ちは
街灯に照らされる影のように
ぼんやりと気まぐれだ
しかし、
失えない
パークは閉園時刻を迎えて
人々はバラバラの帰路につく
「輪廻とやらもこんなふうだろうか」と
わたしはそっと時計を見つめた
綺麗なライトの反射を浴びて
優しくみえた
駅の時計を