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[194183] 宝くじの秘密

詩人:EASY

僕が宝くじを買う理由は
ほど遠くも儚きものだ


一等が当たった時に
どんなことを思うのかという

好奇心と呼ぶ為に必要なものを
ギリギリに満たした

その様なものだ


野球が嫌いなのに

壁にボールを当てて取る事しか
楽しみのない子供が

グローブを親にせがむのを
想像出来るなら

その様なものだ




僕は大抵

スケジュールの空いた休日の正午に
宝くじを買いに行く

信じられないほどの無気力と結託し
宝くじ売り場に向かうのだ


どうでもいいにも程がある程の
適当さを信条に

僕はナンバーをマークする

そして

下町の総決算
とでもいうような

おばさんとの接触を図る為に

その列に並ぶのだ


その列に並んでる間に
考えることは

その日の夕食のメニューである


気づかれない事が多いが

夕食を考える為に
最も適した環境は

宝くじ売り場の列なのだ



僕はそう思われる事を
望んでいるかの様な愛想笑いで

当たれば良い様な顔をして

その

遠くも儚きものに
酔いしれる


それに適した温度は
春か秋の真ん中辺りの

17度前後の昼下がりであるが

そんなことを予報する天気予報は
途方もない年月を経ても

放送されることはない




そして

信じられない程
無気力な僕が

ワイドショーを見ながら
みずほ銀行の場所をチェックするのは

どれ程までに


ほど遠くも儚きものか

想像すらも憚れるのだ





2017/12/18 (Mon)
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