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[161079] 蝉の遺言

詩人:いもけんぴ佐藤ロビンソン




夕暮れの空を見上げて
長かった1日を振り返る
相変わらず 誇らしげに
屋根の上を陣取る一番星が見えるよ

去年の今ごろもこうして
最後の蝉の声を聞いていたっけな
唯一 あのときと違うのは
右の手の重み、肩が触れる体温、
すべて、失ってしまったことくらい

はかなくて とてもささやかで
それでいて確かなきみの最期は
一瞬で命を燃やしてしまう、
夏の虫そのままに美しくて
取り残された みにくいぼくを
少しずつ 優しく包みはじめている


「来年の夏も
 きっとここへ生まれて
 声の限りに 命の限りに
 あなたを呼ぶから
 どうか 私を迎えに来て」


今にも 壊れてしまいそうで
今日という一日を壊してしまいたくて
一瞬で燃え尽きてしまう命を
きみのもとへ捧げようとしたけど
去年と同じ 夕暮れの景色に
懐かしいその声も溶けているみたい

はかなくて とてもささやかで
それでいて確かなきみの最期は
一瞬で命を燃やしてしまう、
夏の虫そのままに美しくて
屋根に隠れてった あの一番星と
きみに会える次の夏を待ってるよ




2010/10/07 (Thu)
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