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[170193] スカイ・フィッシュ

詩人:千波 一也


カラスアゲハの

遠慮がちな青みかたが

なんともいえず爽快だったから

ぼくは急いで

シャツを脱ぎ捨てた

もしかしたら肩甲骨あたりに

あるんじゃないかと思って

見落としてきた空への切符が

あるんじゃないかと思って

待っているんじゃないかと思って

遠慮がちに

爽やかに


だけれど

真夏の陽射しに明るいものは

いかにも生きものらしい

水の匂いだけで

ぼくは

なおさら

汗をこぼして


川沿いの

緑の向こうから

カメラのシャッター音が聞こえてくる

あれはたぶん

つばさを撮っているのだろう

無限のなかを過ぎていく

たった一度を

守っているのだろう

なんて哀しくて

それゆえ温かくて

自然とぼくは

笑い顔になる

涙がつたっても不思議のないような

笑い顔になる


寝転んだ芝生のうえで

ぼくは片腕をすうっと伸ばす

この腕が何百本

いや、何千本つながれば

空とかっちり結ばれるだろう

そんな夢の途中で

まどろむぼくは

空に釣られる青魚

まだまだ自由にとまどうくせに

自由を誇るうろこのひとつ


真夏が飲み込む空のもと

風に揺られて

ぼくは見ている

水面みたいな青の向こうを

ぼくは見ている

切ないくらいに小さな呼吸で



2011/08/02 (Tue)
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