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[171385] 恋文

詩人:千波 一也


あなたに

似合う季節は

どれとは言いがたいので

あなたへおくる言葉はすべて

どうやらいまも

なりゆき

です


 探しものは箱の中

 箱という名に閉じこめられた

 とても、やわらかな

 形



顔なじみの風景が

ようやく広くなりましたので

淡い言葉もわるくない、と

思える紙片が

わたしです


きのうとあしたの

まんなかあたりで

よくわからずに

安堵して


 すがるべきではないものを

 ときに鍵と呼ぶ


 日々のすべてが

 かけがえのないものならば

 どんな痛みも

 どんな眠りも

 どんな翳りも

 どんな恨みも



はたから見れば

わたしもあなたも

思うほどには

意味をなさない

物語です


とがらぬ言葉で

角のない言葉で

互いの輪郭のなさを

あらわに記しあって


そろそろ、

祝福しませんか

機をのがさぬことは

大事な大事なつとめですから




ぴたり、と

揃いませんか


2011/09/30 (Fri)
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