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千波 一也の部屋  〜 「少なからず、」への投 票 〜

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[171395] 少なからず、

詩人:千波 一也


少なからず、
迷いはあったから
今もまったく
そうだから
なるべく
人にはやさしくありたい、と
やさしくされたい
言葉はきょうも
眠る時間です

少なからず、
痛い思いは味わったから
おんなじ思いは
たくさんだから
傷つきかけた誰かのことを
守らなくては、と
構えています
まるで
新たな傷口を
まだかまだか、と
待つように

少なからず、
好意はあったから
結んでもいない約束に
うかれていたのは
事実です
それとまったく同等に
裏切られたのも
事実です
でも、
だれにも同意を
得られないわけでもないから
わたしのような正直者は
つぎなる行為へ
つぎなる行為へ
行けるのです

少なからず、
度を超えた自覚はあったから
熱かったから
どうにでも、
止めてほしかった
毎度のことながら、
それが
言えるのは
あとからだから
寒いんです
いまさらながら
寒いんです
いまさらだから
どうしても
間に合わなくて
凍えてるんです

少なからず、
間違えてきたから
そのたび
愛してきたから
愛されたから
正しく在ろう、とは
誓えないんです
だれにも
いつまでも
誓えないんです

少なからず、
努力はしたから
怠けもしたから
大きなことは言いません
ひとに
強いられるのは
努力じゃないし
怠けでもないし
だから、
小言にとどめます

少なからず、
願いはあったから
怖れてきたから
だれの
どんな言葉にも
たやすく頷いたりしません
たやすく否定したりもしません
綺麗なものは
綺麗なままに、と
信じているだけです

少なからず、
抱えてきたので
負われてきたので、
ゆっくりと
見つめることを
心がけたいんです
ひとを
ながれを
向こうを、内を、裏側を
おもうわたしで
いたいんです

少なからず、
わたしらしさが
わかってきたから
続けてみるより他になく
なおさら
迷子になりそうです
が、
幸せをうたうのも
不幸せをうたうのも
わたしを
通した言葉なら、
聴きたいほうへ
聴きたいほうへ
進んでいこうと
おもうんです



2011/09/30 (Fri)
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