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[171852] 枯葉

詩人:千波 一也


てのひらに

乗らずじまいの鳥でした

だから

わたしを探すなら

むこうの風の

枝あたり

落ちるともなく

揺られ続ける

木の葉の

ような

ささやかに

確信めいた一枚の

ちいさな炎が

わたし

です



この世で

いちばんやさしい嘘が

あなた、だとしたら

わたしはそれを

かくまう罪びとで

構いません

月が

伝えてくれるのは

満ち欠け、

ならば

まっとうするのが

清楚です



交わした約束など

ひとつもありません

願ったことや

にくんだことなら

ひとつならず

ありました

でも、

約束なんて

なかったのです

むごいものなど

必要なかったのです



雲を

描けるつもりで

いますか

いまも

まっすぐに

風のしたですか

あなたは


やわらかな言葉の

裏側ばかりを

品定めして

わたしは

すっかり

褪せました

朽ちてはいないのが

救いです

軽々と

音になるのが

救いです



いつでも

忘れにいらしてください

わたしは

きっと迎えましょう


だれより

なにより

慈しみましょう




2011/10/26 (Wed)
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