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[97531] 針葉樹

詩人:千波 一也


よみがえる言葉を

踏みしめながら

いつの季節もささやかに鳴り



 のびゆくはずが

 逃げてゆけないものへと

 落ち着いてしまった


 あたらしく

 おとを試して、

 更なる空をおいもせず



結び目だけは

ていねいにしなさい、と

去りゆく風から

見つめられ


足音だけが沈みこんでゆく

それが、くれない



 いつからが、つち

 いつまでがつち



燃えるとするならば

両手はいかにも砂のいろ

きびしさに負けてしまうまで

孤独は、枯れて



 いのりの数を

 おだやかにそそぐ雨は

 みがわりの

 羽


 無言のなかでも、

 あきらめを棄てながら



他人を絡めるゆびさきの

目覚めとともに

森はある


たとえ閉じゆくさなかでも

さいごのおとには

だれかが

続く、


ふかき護りに



2007/03/05 (Mon)
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