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[197863] これは詩ではない、詞である。64

詩人:理恵

窓を開けたら冬の匂いがして
白い息が口もとで消えた
もわりと浮かんで溶けてくそれは
いつの間に今年もやって来たんだろう

部屋に満ちた冷たさを悟って
窓を閉めたのになぜか
まだ感じていたくて

袖を通したフリースの
暖かさは冬を見せつける
なんべんも回った暁に
僕は何を期待するだろう

僕に何を期待するだろう

瞳閉じたら明日の気配がして
不安になってスマホを見る
眠れるよと謳うメロディーに
あしたの自分を願って丸くなる

思うよりも世界は小さくて
それでもやっぱりなぜか
まだ殻は破れなくて

袖を通した制服と
窮屈さは今も変わらない
一度だけ通ったはずの道
でもなんべんも通ったみたいだ

少しだけ 目線が変わった
少しだけ 季節が変わった
少しだけを積み重ねては
少しだけの絶望に顔を埋める

袖を通した今日の服
制服 スーツ 作業服
なんべんも回った暁に
僕は何を期待するだろう

僕に何を期待するだろう

僕は何に期待するだろう

僕は何を期待できるだろう




2022.12.12

2022/12/31 (Sat)
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