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ふくざわゆいとの部屋  〜 「副隊長」への投 票 〜

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[194184] 副隊長

詩人:ふくざわゆいと

それはあまりにも突然だった

なにかで殴られたような 衝撃だった

時が経っても 信じられず

ただ 休暇を取って

会社にいないだけだと思えた

仕事が大好きな人だった

人一倍真剣で 手を抜かず

強い責任感と 誇りを持って業務にあたる

その姿は 周りには眩しく

その立場から 皆を引っ張り

時に疎まれても 正しい道を貫く

憧れの存在だった

入社当初

要領の悪い自分は すぐに孤立した

けれど この人は信じてくれた

周りに「やめてしまえ!」と嫌われて

小さく虚ろな自分に

「ここで負けるな!」と励まし

「このままじゃ悔しいよな」と寄り添い

『現場』を 教えてくれた

「バカヤロー!」と何度も叱られて

だからこそ 褒められると嬉しくて

誰よりも厳しく 誰よりも優しかった

悩めば 一緒に考えてくれた

この人に付いていこうと思えた

『父』のような存在だった

夕方になっても ピンと来なかった

なぜこんなことしてるのだろうと

喪服に着替えながら

通夜に向かう足は重たく

心は 向かなかった

お別れになってしまうのか

頭の中を ぐるぐると回って

落ち着かないまま扉が開くと

会社を辞めて 別の道に進んだ者

勤務先が異動となった者

上司や同僚 俯く面々

確かめたくなった

ぎごちなく礼して 顔を合わせた

ただ 寝ているようだった

言い表せない気持ち 激しく動揺した

受け止めがたい事実だった

一礼し 棺を離れてからは

よく覚えていない

奥さまの言葉

何度も読み返していた

いつのまにか一人 ぽつんと残った

「まだ教えてもらいたいことがあるんですよ!」

「なに、寝てるんですか。いつもみたいに叱ってくださいよ」

「この先、誰を手本にやっていけばいいんですか!」

涙が溢れた 止められなかった

「決して周りに流されるなよ、

お前のいいところは真面目に取り組むところだ、

腐らずにやっていけば、必ず大丈夫だから。」

自分に よく掛けてくれた言葉

絶対に忘れない

あなたの意志を 継いでいかなければ

2017/12/19 (Tue)
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