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[104284] とてつもなく長い夜

詩人:甘味亭 真朱麻呂


薄暗い部屋ソファーに横になる僕
猫が眠そうにちいさくあくびをする
時々あまえるように鳴いている
電話のベルが鳴ったのも気にせずお留守番をする子供のように
じっとしてうつろな瞳で窓の外思い出したみたいに眺めて
ボーッとしながら一日中をこの家で過ごす

頭の中散らかっている問題は
明日になってもきっと良い答はでない
投げ出してはのぞき込むように横目で確かめるんだ
本棚の上の色あせたウサギのぬいぐるみが首を擡(もた)げて
元気なくうなだれてる
欲しくて買ったものなのに今の自分と同じ様に
長い時のその間にすっかり色をなくして
忘れ去られたかわいそうなウサギ
本当に自分と同じだな

比べ比べられながら
いつだって他人より勝ったなにかを持っていたかった
見栄や意地を張り
何度も何度も傷つける言葉をきみに言ってしまった…

そうやって
とてつもなく長い夜は音さえもなく更けて朝に変わる
吐きだした溜息の数だけ不安はあり
目をつぶっていても逃げられやしないから
不安をむりやり飲み込んで
でも心がうけつけなくてむせるから涙がでて溜息をまたひとつ吐きだす
とてつもなく長い夜の終わりに
きみとの話題をさがすもみつからないそのもどかしさに胸を痛めてる

明けていく空の色
町は目覚め始める
そしてまた僕は溜息をこぼしながら
重い足で出かける
ふたたびとてつもなく長い夜が訪れるまで
窮屈な社会の中
生き延びるため僕は動きまわる
笑い方さえ忘れそうになりながらも
愛想振りまいて動きまくる。

2007/06/27 (Wed)
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