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甘味亭 真朱麻呂の部屋  〜 「祭りのあと」への投 票 〜

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[126920] 祭りのあと

詩人:甘味亭 真朱麻呂

この夏が終わるまえに君に伝えた返事をください
長い夏休みも気がつけばやがて終わる
せつなさ残したまま

夏は空に雲を広げ
静かにせみの声を消す
小さくうなずいた
その理由を聞かせてよ

口ごもる君は誰よりもいちばんに一緒にいたいと思う人

夏生まれなのに肌は白く艶やか
髪は長めのロング

艶やかな浴衣と
下駄を履くあなた
鼻緒が切れないか気にしながら祭囃子の中をゆっくり歩く振り袖の人
見上げた夜空に咲いた大輪は遠ざかる夏の思い出を魅せる
釣りにも行った

あとはただ夏が過ぎ行くのを待つだけ
夏の君は今しか見れないから やがて来年になって夏がまたきたら違う君だから
今年は今年で今年しか会えない君に会いたいんだ
夏がただ寝転がりあくびするばかりで終わらないように
逃げてく日々をしっかり押さえつけるんだ

今 夏の君に会いにまた祭囃子の中へ帰ろう
田舎を思い出して
花火をバケツの中で別れを告げる
金魚鉢の中で泳ぐ金魚は夏のあいだだけしかその元気な姿を見せない

電車の中 肩を寄せあい
寄り合い眠るカップル
せつない場面
ひとりの夏ならば
なおさら
そんな夏もある
いつもいつでも楽しいばかりの夏とは限りません

煙る花火みたいに一瞬だけの幻 つかの間の幻想燈
まるで夢みたい 心が萎えてきた祭から帰ってきた夜

祭りのあとの静けさに似たいつもの人気のない神社みたい
夏が終わればまるでみんな屋台も片づけられ人っ子ひとりいなくなる とつぜんに消えたみたいに
僕には思えてぽろりと涙

夏は終わらない 僕の中でいつまでも暑く残る
今も過ぎ去った夏は見せてくれるあの夏を
幻なんかじゃ終わらないなんて事のない今日が未来にとって大きな光になるみたいにね

どれだけ遠くなろうと今日という日は消えず心の中で煌めいて夏に返す。

2008/05/26 (Mon)
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