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トケルネコの部屋  〜 「INDEEP 『鬼胎回路』」への投 票 〜

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[155127] INDEEP 『鬼胎回路』

詩人:トケルネコ

船の上にいる
そこには誰もいない
ミシンの音が聞こえる
それは繕えないものを繋ごうとするクリミナル‐神曲‐

波は稠密な灰から毀れたゴールドへ移りゆく
ペンライトで薄暗い穹を照らしてみる
巨大な背ビレだけが揺れている

(見つかった!)

鼓動は限界で急いで船室へ逃げ込む
アナタがいる
アナタがひっそりと花瓶に咲いている
悦びが胸で忌まわしい形をとる
喉が鉄の味に読み込まれ 床が獨獨と逆様にインストールされる

(見つかった!)

もうすぐ血塗れのモノと港を奪い合わなければならない
アナタが汐の風に揺れている
粉っぽい白い花弁が一枚一枚燃え落ちてゆく

「少し待ってくれ!」(水を持ってくるから)
「もう少しだけ待ってくれ!」(死なないでくれ…)

巨大な影が砂漠に浮かんでいる
どこにも水は無い
手探りで捜すとコートの胸ポケットに香水が見つかった
臭うとスルリと蛇が瓶から這い出した
数えると14匹の蛇が不思議な円を描いている

これだけじゃないか! ここからじゃなかったのか?!

船はゆっくりと浮揚し 月は鱗を煌めかせ昏昏とのたくっていた

2010/08/05 (Thu)
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