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[15274] 環状列車 9両編成「十界号」

詩人:evans

いつから 何処から
運行しているか
解らない循環列車

1両目には

病気や人生に悩み疲れ
苦しみの中を必死に
もがく乗客たち

2両目には

衣食住のものに飢えて
愛情と知識に飢えて
貪る乗客たち

3両目には

弱きものを見下しいじめ
権力や利己主義に媚び諂う
愚かな乗客たち

4両目には

互いに相手を罵り
暴力が横行する
怒りの乗客たち

5両目には

みな何もせず
ただ座っている
平穏な乗客たち

6両目には

招待旅行の仲間に囲まれ
歓談止まぬ乗客たち
天にも昇る想いを胸に

7両目には

講師の声に耳を傾け
書籍の研鑽エリートたち

8両目には

自らの理論や技術を
確立し達観した
学者や教授陣たち
みな われが一番
偉いと主張

9両目には

人のためにと
自己の損得省みず
動き回る乗客たち

1両目から9両目まで
さまざまな状況で
みな 行ったり来たり

向かい風をも苦とはせず
走り続ける環状線

いろいろな車両を
常に移動しながらも

走り続ける意味を知る

どの車両にいても
前へ前へと
進んでゆける可能性

可能性を開くための努力
それを自覚した瞬間にのみ

脳裏に浮かぶ10両目

そして 再び
1両目から9両目までを
常に歩き続ける・・・

永遠に続く環状線の車内で

2004/07/27 (Tue)
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