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[156493] ランプ

詩人:どるとる


街灯り 消えた 声
昼間のざわめきも嘘のような真夜中
時計さえ眠ってるように 静かな夜

堅苦しい人たちから僕はさんざん逃げ回って
ようやく行き着いたこの部屋
悲しみと喜びはけっしてひとつにはならない
悲しみは悲しみでしかなく
喜びは喜びはでしかないから
同じ風には見れない
だから判断するのは容易なことなのさ

たくさんの涙がこぼれてできた川
そのせせらぎにたまに波紋が広がり僕のマヌケ面から笑顔が消える

燃え盛る命の炎を両手で囲い込み 消えないように 守る
ただ愛想振りまき笑うだけでも お世辞ひとつこぼしてあげるだけでも 十分苦しい世界だから

心の中のランプは揺らめき たまに危うく消えそうになる

でも、なぜか肉体的にも精神的にも楽になるのを心がゆるさず 崖に落ちそうな僕をもうひとりの僕が呼び止める

頭の中の幻燈機がうつしだす影絵みたいな夢も 潤いをなくして枯渇しそうだから
眺めるほどに悲しくなる 廃れた 茶番劇

何度も繰り返し繰り返し巻き戻される
記憶の中のあの場面
消えない ミスカット誰かの 冷たい視線
凍るような笑い声

涙と涙が寄り集まってできた川には 忘れ去られた遠い日の思い出と呼ぶべき記憶が漂流物のようにただよう

燃え上がる火の手に両手をかざして 冷えた手を暖める
ただ愛想振りまき笑うだけでも お世辞ひとつこぼしてあげるだけでも 十分切ない世界だから

心の中のランプは揺らめき たまに危うく消えそうになる

いつかその消える炎は消えるためにあるけど まだ消えるには早すぎるよね

だからこそ肉体的にも精神的にも楽になるのを心がゆるさず 崖に落ちそうな僕をもうひとりの僕が呼び止める

そんな毎日が続くのだろう
そんな夜が窓から忍び込むのだろう

枕元に立つ不安と今にも消えそうでまだまだ消えないランプの炎
今日も密かに燃えている。

2010/05/27 (Thu)
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