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[160188] ああ人生は素晴らしい

詩人:どるとる


路地裏で猫が眠ってる
涼しげな風が吹く夕方
どこからかおいしそうな夕飯の匂いがする

帰り道の途中で
道草する元気もなくなるくらいお腹がへったから
帰りましょう
帰りましょう

エプロン姿のお母さんの背中が軽快にまな板の上 野菜を切る音が聞こえてくる

ああ 特別なものはなにもないけど
ここには一生変わらないただの幸せがある
だから僕は今日もばかばかしいことで笑い
そして生きるのさ

ああ 人生はありふれているほど素晴らしい

今日も夕日が落ちてゆくんだね
そして夜は来るんだね
誰もが夢を見るんだね

だんだん大人になると忘れていくものもあるかもしれないけど
ずっとありふれていることが僕には幸せだから
金持ちとか億万長者とかになれなくても構わないから
そこにある変わらない笑顔と誰かの優しいおかえりの声と美味しい夕飯があればいい

僕を待つような
そんな心の広い
人が僕を愛してくれるならそれは素晴らしい人生だね

周りを見渡しても今はまだ見当たらない胸の打つ切なさが
涙になって流れても
明日を信じて
歩いていこう

ただいまという声を吐き出せば
おかえりという声がかならず返るわけじゃない
僕はひとりだ
だけれど泣かないよ
負けないよ

夕日が沈んで
あの頃みたいにお腹がへったらお家へ帰ろう
寄り道せずに

誰かが帰りを待つわけじゃない ひとりぼっちの毎日だけど
お腹がへったらしかたない

ああ 人生は考え方ひとつで素晴らしい

『なんとかなるさ』
気楽な気持ちでいっそ 歩いていこう
ため息までついてるのに自分を責めたってさらに落ち込むだけだよ
だから嘘ついても
悲しくないよと
ごまかす自分がかわいそうになるんだね

とりあえずはさよなら。

2010/09/05 (Sun)
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